BIND 9における複数の脆弱性について(2021年4月)(2021.4.29更新)
BIND 9における複数の脆弱性について,一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンターより情報提供がありましたのでお知らせします.
2021年4月29日 ネームサーバ管理者の方々へ 一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター BIND 9における複数の脆弱性について(2021年4月) 2021年4月28日(現地時間)、複数のバージョンのBIND 9に存在する、 三つの 脆弱性の情報がISC (Internet Systems Consortium)から公開されました。 それぞれの脆弱性の内容は次の通りです。 1. IXFRの不具合によりnamedが予期せず停止するもの 2. DNAMEレコードへの応答の際に、DNAME自身の名前解決に失敗しアサーショ ンチェックが失敗するもの 3. BINDのGSSAPIネゴシエーション機能の脆弱性に対してバッファオーバーフ ロー攻撃の標的となる可能性があるもの(第二報) ご参考までに、アナウンスの原文へのリンクを以下に掲載します。管理者の 皆様におかれましては、ネームサーバソフトウェアのご確認など適切な処置 をお願いいたします。 記 □ CVE-2021-25214: IXFRの不具合によりnamedが予期せず停止する IXFR(Incremental zone transfers)は、サーバ間のゾーン転送において差 分転送を行う機能です。このIXFRを行う際に、転送するデータ中にゾーン 頂点以外のownerを持つSOAレコードがあった場合、ゾーンを受信する側の namedがデータベースから当該のSOAレコードを誤って削除してしまう可能 性があります。これにより、そのゾーンに対して次にSOAのrefreshクエリ を実行した際に、アサーションに失敗しnamedが停止します。 □ CVE-2021-25215: DNAMEレコードへの応答の際に、 DNAME自身の名前解決 に失敗しアサーションチェックが失敗することがある DNAMEレコードは、DNSにおける名前空間の一部分を別のツリーへリダイレ クトできるようにする機能を持ったレコードであり、 RFC6672で標準化さ れています。 namedにはこのDNAMEレコードを処理する過程に不具合があるため、同じ RRsetをANSWERセクションに2回以上追加しようとする可能性があります。 これにより、BINDのアサーションチェックが失敗します。 DNAMEレコードは、権威サーバとキャッシュサーバの両方で用いられます。 権威サーバの場合、 ゾーンデータベース中にDNAMEレコードが含まれてい ると脆弱性の発生要因となる可能性があります。キャッシュサーバの場合、 名前解決中に権威サーバからDNAMEレコードを受け取る可能性があります。 □ CVE-2021-25216: BINDのGSSAPIネゴシエーション機能の脆弱性に対して バッファオーバーフロー攻撃の標的となる可能性がある(第二報) GSS-TSIGはTSIGプロトコルの拡張であり、通信の正しさを検証するために 使用されます。また、GSS-TSIGのインタフェースとして使用されるネゴシ エーションメカニズムにはSPNEGOというものがあります。このSPNEGOの実 装に、バッファオーバーフロー攻撃が成功する可能性のある脆弱性があり ます。 デフォルトの設定は脆弱ではありませんが、 GSS-TSIG機能に関する tkey-gssapi-keytabまたはtkey-gssapi-credentialオプションが有効な場 合に脆弱となります。ただし、GSS-TSIGは、BINDとSambaとの統合環境や、 BINDとActive Directoryのドメインコントローラを組み合わせた環境でよ く使用されるため、注意が必要です。 SPNEGOの標準的な実装としてはMITおよびHeimdalのKerberosライブラリが あり、幅広いOS環境でサポートされています。ISCは、ISCによる実装は不 要かつ時代遅れであると判断しました。 そのため、2021年4月にリリースされるBIND 9.11および9.16からISCによ るSPNEGO実装が削除されることになりました(BIND 9.17はすでに削除され ています)。 □ 修正されたバージョンとダウンロードページ BIND 9.11.31 BIND 9.16.15 BIND 9.17.12 (CVE-2021-25216 を除く) BIND 9.11.31-S1 BIND 9.16.15-S1 https://www.isc.org/download/ □ ISCからのアナウンス CVE-2021-25214: A broken inbound incremental zone update (IXFR) can cause named to terminate unexpectedly https://kb.isc.org/docs/cve-2021-25214 CVE-2021-25215: An assertion check can fail while answering queries for DNAME records that require the DNAME to be processed to resolve itself https://kb.isc.org/docs/cve-2021-25215 CVE-2021-25216: A second vulnerability in BIND's GSSAPI security policy negotiation can be targeted by a buffer overflow attack - Security Advisories https://kb.isc.org/docs/cve-2021-25216 以上