BIND 9における脆弱性について(2021年2月)(2021.2.18更新)

BIND 9における脆弱性について,一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンターより情報提供がありましたのでお知らせします.


                                    2021年2月18日
      ネームサーバ管理者の方々へ

                          一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター

                    BIND 9における脆弱性について(2021年2月)

      2021年2月17日(現地時間)、BIND 9に存在する脆弱性の情報がISC (Internet
      Systems Consortium)から公開されました。

      GSS-TSIG 機能に脆弱性があり、機能が有効な場合リモートからバッファオー
      バーフロー攻撃が成功する可能性があります。

      ご参考までに、アナウンスの原文へのリンクを以下に掲載します。管理者の
      皆様におかれましては、ネームサーバソフトウェアのご確認など適切な処置
      をお願いいたします。

                                          記

      □ CVE-2020-8625: BIND の GSSAPI ネゴシエーション機能の脆弱性に対し
       てバッファオーバーフロー攻撃の標的となる可能性がある

      ○ 概要

      GSS-TSIG は TSIG プロトコルの拡張であり、通信の正しさを検証するため
      に使用されます。また、GSS-TSIG のインタフェースとして使用されるネゴ
      シエーションメカニズムには SPNEGO というものがあります。この SPNEGO
      の実装に、バッファオーバーフロー攻撃が成功する可能性のある脆弱性があ
      ることが判明しました。

      デフォルトの設定は脆弱ではありませんが、GSS-TSIG 機能に関する
      tkey-gssapi-keytab または tkey-gssapi-credentialconfiguration オプショ
      ンが有効な場合のみに脆弱となります。ただし、GSS-TSIG は、BIND と Samba
      との統合環境や、BIND と Active Directory のドメインコントローラを組み
      合わせた環境でよく使用されるため、注意が必要です。

      脆弱性への攻撃に成功した場合、named プロセスのクラッシュが予想されま
      す。しかし、リモートからのコード実行は理論的には可能ではあるものの、
      確認されていません。

      ○ 回避策

      この脆弱性は、GSS-TSIG を使用するように設定された場合にのみ影響があ
      ります。認証に別のメカニズムを使用できる場合には、GSS-TSIG 機能を無
      効にすることで、この脆弱性を回避できます。

      ○ 影響を受けるバージョン

       9.5.0 - 9.11.27
       9.12.0 - 9.16.11
       9.17.0 - 9.17.1 
       9.11.3-S1 - 9.11.27-S1
       9.16.8-S1 - 9.16.11-S1

       ○ 修正されたバージョンとダウンロードページ

       9.11.28
       9.16.12
       9.11.28-S1
       9.16.12-S1

       https://www.isc.org/download/

      □ ISCからのアナウンス

         CVE-2020-8625: A vulnerability in BIND's GSSAPI security policy
         negotiation can be targeted by a buffer overflow attack -
         Security Advisories
         https://kb.isc.org/docs/cve-2020-8625

      □ 参考

          * CVE

            https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2020-8625

          * JPRS

            (緊急)BIND 9.xの脆弱性(DNSサービスの停止・リモートコード実行)
            について(CVE-2020-8625)
            https://jprs.jp/tech/security/2021-02-18-bind9-vuln-gsstsig.html

          * JPCERT/CC

            ISC BIND 9の脆弱性(CVE-2020-8625)に関する注意喚起
            https://www.jpcert.or.jp/at/2021/at210010.html